食への不安感が社会に広がる昨今。スクスクのっぽくんでは、子どもたちの成長をサポートする立場として、食の安全や栄養に関する座談会を行うことに致しました。育ち盛りのお子様を持つ主婦の皆さんと管理栄養士の磯村優貴恵さんをお迎えして、お話を伺いました。
子供の食生活について、ママたちのお話を伺いました。
食への不安感が社会に広がる昨今。
スクスクのっぽくんでは、子どもたちの成長をサポートする立場として、食の安全や栄養に関する座談会を行うことに致しました。育ち盛りのお子様を持つ主婦の皆さんと管理栄養士の磯村優貴恵さんをお迎えして、お話を伺いました。
お子さんに“野菜の好き嫌い”はありますか?
田中
うちの子はナスとキノコが苦手です。なので、なるべく小さくして料理に混ぜこんでいるんですが、そうすると今度は食が細くなってしまって。お腹がすいていても嫌いなものは食べたがらないので、それなら、好きなものだけを出して、たくさん食べてくれた方がいいかなと思うんですけれど。好き嫌いがどうしても直らなくて大変ですね。
佐藤
子供ってキノコ苦手ですよね。ハンバーグなどに隠して混ぜても、結構気づかれて嫌がられます(笑)
田中
嫌いな野菜もどんどん出したいんだけれど、無理に出すと食べる意欲がガクンと落ちてしまうんですよね。
高橋
うちもナスとか、好き嫌いが多いです。大人になった時に恥ずかしい思いをするだろうと思って、がんばって食べさせようとしているんですけど難しいですね。
磯村
大人と子供って味覚の違いはもちろんあるのですが、子供は大人に比べてまだ本能的に生きている部分が多くて、例えば青いものとか緑のもの、苦味や渋みがあるものを危険だと認識してしまうような、本能的な感覚が残っているんです。なので、無理に食べさせると、その食べ物に対する嫌悪感がより強まってしまうこともあるので、あまり無理をしない方が良いかもしれませんね。
高橋
どんな野菜だと子どもにとって食べやすいんですか?
磯村
赤いものや甘みのあるものは子供は本能的にも好むので、食べやすいと思います。あとは、味覚はだんだん発達するものなので、小さい頃に食べられなかったとしても、成長する過程で食べられるようになる場合も多いので、見守ってあげてもよいと思います。
田中
そういえば私も子供の頃は食べられない野菜が多かったですね。大人になってからは、たいてい食べられるようになりましたが。
佐藤
あまり無理しなくてもいいんですね。
磯村
そうですね。食べられないものは、他の野菜で補うことも可能ですから。たとえばキノコが嫌いなお子さんは多いですけれど、キノコに含まれている食物繊維やビタミンDは、キノコ以外からも摂れます。ゴボウやレンコンなどの根菜類で補うことができますので、苦手な野菜がある場合は、別の野菜で栄養素を確保するのも一つの方法です。
高橋
確かに、苦手な野菜を無理に克服しなくても、他の野菜で栄養素を摂ればいいですよね。
田中
野菜から効果的に栄養素を摂る方法はありますか?
磯村
日本の土壌や水自体、欧米に比べると栄養素が少ないと言われているんです。特に水です。日本の水は、カルシウムとマグネシウムの量が少ない「軟水」なので、その軟水がしみこんだ土壌で育つ野菜は、どうしても欧米の「硬水」で育った野菜に比べて栄養価が少なくなってしまいます。
佐藤
軟水と硬水では栄養価が違うんですね。
磯村
表1を見ていただくと、昔に比べると野菜の栄養素が減っていますよね。一番の原因は、殺虫剤や農薬を多く使うことで、土の中のミネラルが減っていることにあります。ミネラルは土の中の微生物によって作られるので、農薬などによって微生物まで死んでしまうと、土が生きていない状態になります。そのような土壌で育った野菜には、ビタミンやミネラルが多く含まれていないんです。
※表1 1952年と2001年の栄養価の比較 | ||||
栄養素 | 1952年 | 2001年 | 52年/01年 | |
ほうれん草 | ビタミンA ビタミンE 鉄分 | 8000 150 13 | 4200 35 2.0 | 52.5% 23.3 15.4 |
にんじん | ビタミンA ビタミンE 鉄分 | 13500 10 2 | 9100 4 0.2 | 67.4% 40.0% 10.0% |
科学技術庁 五訂食品標準成分表より1952年と2001年調査との比較
上の表は、1952年と2001年の野菜に含まれる栄養素を比較したものです。ほうれん草の場合は、この30年の間にビタミンAが約半分、ビタミンCが約四分の一、鉄分が約六分の一に減少していることがわかります。
高橋
そうなると、有機野菜や無農薬野菜の方が栄養価は高いんでしょうね。でも、育ち盛りの子どもがいると、毎日の食卓でそのような野菜をそろえるのはお財布には厳しいですよね。
磯村
そうですよね。でも、旬の野菜を選べば効果的に栄養素を摂ることができますよ。旬のものって一番栄養を蓄えているんです。季節はずれの野菜より、旬のものを食べることで、上手に栄養を摂れるといいですね。
管理栄養士
磯村優貴恵
子供は本能的に緑色や苦い食べ物を避ける傾向があるので、赤や黄色など、色合いを工夫しましょう。また、味覚は成長とともに発達していくので、自然に食べられるようになる場合が多いですよ。無理に食べさせなくても、不足分の栄養素は他の食べ物で補えば大丈夫です!